『ごめんなさい・・・
あなたにはとても色々な事をしてもらって、月並みな感謝の言葉を今さらのように綴るのもと思ってしまうくらいです。
でも、もうこのままではいられないのです。
あなたは私を宝条から引き離したいのでしょう。
でも、それはできません。
私があなたにお願い出来るのはただ一つ。
もし、私がセフィロスの側に居れなくなってしまった時、あなたが側に居てもらえたら。
可愛いセフィロスが産まれた時に少しは一緒にいられる期間があったけれども・・・セフィロスはとても不安定な子です。
きっと宝条はセフィロスを実験材料としてしか見ないでしょうから、セフィロスの精神状態を思い遣る人は研究員の中にもいないかもしれません。
そんな時に可愛いセフィロスの支えにあなたがなってもらえたら・・・
でも、あなたにはあなたの人生があります。
私のこの頼みをきいて頂けなくても、あなたを責めることはありません。
結局は私が全て悪いのです。
未熟な私の知識が人の役に立つと思い込んで、暴走してしまった実験のあの結果の決着をつけられない私が。
本当は私がセフィロスの側にいるべきなのは重々承知です。
でも、こんなになってしまった私の身体と、不安定な精神状態ではとても彼を守れるとは思えません。
セフィロスの所までこの状態で行けるかどうか・・・
この手紙を見る頃には私はあなたの目の前から姿を消しているでしょう。
あなた自身にもいろいろと謝らなければならないのに。
本当に、ごめんなさい・・・。
でも、私を探そうとは思わないで下さい。その先にあなたの幸せはありません。
私が言える事ではないけれども、あなたにはもっとあなたのことを考えてくれる人が現れてくれるはずです。
でも、私はいつもあなたのことを考えていますし、あなたが幸せになること祈っています。
それは本当です。
最後に、あなたの人生に幸(さち)大からん事を。
ルクレツィア・クレシェント』
それが、彼女からもらった最初で最後の手紙だった。
【4.7.2007】
009. 手紙