陽の光が大分西に傾きかけた3時過ぎの時間、いつもの実行部隊の三人が廊下を騒がしく歩いていた。
「次の任務ではきっと俺が一番活躍するぞ!」
クラウドがいきがって、言っている。
「はいはい、今回は俺の大活躍だったからね。」
ザックスがその言葉を引き取るように答える。
「あーー!ザックス!俺ができないと思ってるんだろ!」
クラウドの突っ込みに、まあまあ、と押しとどめるザックスを背後で感じながら、相変わらず面白いやつら・・・とセフィロスは廊下を歩いていた。
「そういや、セフィロス。今日とっておきの可愛い女の子ばっかりの合コンがあるんだけどよ。」
ザックスが前を行くセフィロスに追い付いて話しかける。
「お前の可愛いはあんまり当てにならないからな。」
セフィロスが彼の誘いに早くも断わりモードに入っていた。
「いや、今回は絶対いけるって。○レの水着モデルになったことあります。ナイスバディモデル女子合コンだぞ。」
すげ〜と口を挟むクラウドに、お前はティファがいるから却下な、とザックスが素早く言った。
「ザックスひでぇよ。俺だってナイスバディの都会の女の子に会ってみたい・・・」
クラウドが文句を言うのに、ティファのどこがナイスバディじゃないんだ・・・と突っ込みを入れたくなるザックスであった。
で、セフィロスは出席する?、とザックスが話をまとめようとした瞬間、
セフィロスの目は真横を通り過ぎた黒髪の人物を追いかけていた。
どこか懐かしい感じのする彼は、セフィロスの存在に見向きもしないで、隣に話しかけていた。
「リーブ、次の調査はインターンではできないぞ。」
「そうですねぇ・・・でも、あなたにはやってもらいたいんですが・・・」
言葉の端が聞こえてきたが、歩きながらだったので二人ともすぐに脇を通り過ぎて、まっすぐの廊下を進んでいく。
二人が突き当たりの廊下の角をまがって見えなくなるまで、思わず立ち止まって見守ってしまったセフィロスであった。
「リ−ブさんがそんなに珍しいのか。」
クラウドが俺もその合コンに行きたい、と抗議をしているのが遠くで聞こえる。
唐突なザックスの言葉に、正気に戻ったセフィロスだった。
「別に・・・お前が行かせたがってる合コン、黒髪美人はいるのか?」
おっ・・・と食い付いてきたセフィロスの関心を逸らせまいと、出席メンバーの写真を検索するザックス。
「いるいる!黒髪さらさら美人!」
携帯の画面を見ると、5〜6人で写っている写真の一人が黒くて長い髪をしていて、目の色は赤かどうかはちょっと分からなかっがそれらしい女性が見えた。
ーまた会えるとは限らないしな。
OKの返事を出しつつ、なんとなく自分の胸がドキドキしている気がした。
ー気になってるってやつか?
実行部隊のトレーニングルームに向かおうと角を曲がる三人。
「さっきリ−ブさんと一緒にいた人、かなりの美人だったよな。気になるならリ−ブさんに聞いてみたらいいと思うけど。」
親切心からかザックスが、さらりとセフィロスに言った。
いや・・・と声を出したが、その返答をザックスは聞いていはいないようで、既にトレーニングルームに消えて行った後だった。
このあと、かなりの間セフィロス様の黒髪美人を見つける為の合コンが続くのですが・・・それが、いつ終わるのかはばればれですよね。

【4.7.2007】
008. 一目惚れ