「結局今まで何人泣かせてきたんだよ。」
夜も大分更けてきてそろそろ12時も過ぎる頃、明日お休みの予定もないのにいつもの3人がのみ屋で管を巻いていた。
「そんなのいちいち覚えてない。」
相変わらず飲んでも全然顔に出ないセフィロスが、めんどくさそうにザックスに答える。
「覚えてないくらいの人数ですかぁ〜。」
顔が真っ赤になって絡み酒っぽくなっているザックスが、へらへらとセフィロスの肩に手をかける。
全くこいつ酔ってるな、と思って絡むザックスを体よく避けようとすると、
「そう言えばこの前の合コンの子すごく可愛かったよな。」
とへろへろのクラウドが言ってきた。
「あっ、あれだろ。金髪でふわふわした綿菓子みたいな髪の子。」
ザックスの言葉に、うんうん、とクラウドが頷いた所を見ると二人とも同じ子を狙っていたらしい。
「今付き合っている人はいないって言ってたよ。」
「そんなの、合コンに出る為の言い訳かもしれないけどな。」
セフィロスへの関心は薄れて、二人で熱心に話し始めた。
ー金髪のふわふわってこれか?
セフィロスが自分の携帯メールを検索してみた。
「へぇ・・・セフィもこんな娘からメ−ルが。」
聞いたことのある声にビクッと振り向くと、ヴィンセントが興味深そうにセフィロスの携帯の画面をのぞいていた。
「それ誰?」
既に出来上がっているのザックスが食い付く。
「金髪のふわふわ。」
ヴィンセントが答えて、まじで俺狙ってたのにまた旦那かよ、と声が聞こえた。
「別に俺は何も言ってないぞ。」
セフィロスがこのままの状況だとまずい人物がいる手前、言い訳する。
「いつ来たのそのメール。」
クラウドが聞いてくる。
「2日前かな。」
ダメじゃん、早く返信しろよと二人からダメだしが入った。
「そうだぞ。まだ初恋もまだみたいな可愛い女性には親切にしないと。」
ヴィンセントがからかうように付け加える。
「合コンに来るような女にそんなのいるかよ。」
つぶやきながら、ザックス返信してと自分の携帯を渡した。
クラウドと話ながら二人でメールの返信を打っている。
「何でこんな時間にいるんだよ。」
実行部隊のたまり場のようになっている、のみ屋にヴィンセントがいるのは珍しい。
「リーブがどうしても飲みたいって言うから、付き合ってきたんだけど・・・」
ヴィンセントが指差した先には、机に突っ伏して眠っている局長がいた。
「どうやって持って返ろうかと思ってた所だよ。」
「別に持って返らなくてもいいだろ。」
ちょっと不機嫌そうにセフィロスがそっぽを向く。
そんな訳にも・・・と言った時に、ザックスとクラウドが騒ぎ始めた。
セフィロスがそっちの方をちらっと向くと、携帯を渡される。
何だよ・・・と受け取ると、二人とも早く電話に出て!!というゼスチャーをした。
「もしもし。」
不機嫌そうにセフィロスが携帯に耳を当てる。
ヴィンセントが彼の顔を見ていると、一瞬びっくりした表情を見せた後、ヴィンセントをちらっと見て戸惑った顔をして、彼から目をそらして話し始めた。
ーだれ?
ヴィンセントがザックスに囁いた。
ー金髪のふわふわ。
クラウドも口をそろえて答える。
ーメール打ったら、すぐに電話かかってきちゃってさ。
それはそれは・・・、とヴィンセントが面白そうにセフィロスを見ると、既に電話を切った後だった。
「旦那、早くない?」
ザックスが話し掛ける。
「別に。」
セフィロスがどうと言うこともなく、携帯をしまった。
「なんて言われたんだ?」
好奇心から、ヴィンセントが聞いてくる。
「好きだって言われたけど断わった。」
「・・・あっ・・・そう。」
クラウドが残念そうに言葉を濁す。
ヴィンセントとザックスが二人で目を見合わせて、複雑な顔をした。
「それよりも、ヴィン本気でリーブの世話をする気か?」
「まあ・・・一応上司だし・・・。」
リーブの家は遠いからうちに泊めても・・・、と言いかける。
「じゃあ、今日はおれたち全員ヴィンセントの家に泊めてもらうぞ。」
「えっ!?」
いいんですか?とザックスとクラウドが二人で声を合わせる。
「まっ・・・まあベッドは山ほどあるけど・・・。」
いきなりの提案にうろたえてOKを出すヴィンセント。
「じゃあ決まりな。」
さっさと会計をすませて、リーブを運びはじめるセフィロスだった。
何なんだこの行動の早さは一体・・・と思いながらタクシーを呼びに行くヴィンセント。
ー絶対リーブの奴にヴィンと二人きりなんて美味しい思いをさせたくないからな・・・。
セフィロスさんの深〜い(?笑)意図には誰も気付かずに、ヴァレンタイン家へ向かう一同でありました。


【7.12.2007】
021. 告白

Back to 100 coupling title challenging