ルクレツィア・ヴァレンタインさんがヴァレンタイン邸に来てから大分たちました。
今度14歳になる彼女はとある決意をしているようです。
もちろんそれは彼女の育ての父ヴィンセントといつも家に出入りしてるうっとおしい(←彼女視点)セフィロスに関係するのですが・・・ どんな事をしようとしているのでしょうね?


ヴィンセント・ヴァレンタインがいつも通りなんとか20時前に帰宅すると、
「パパ、お帰りなさい!」
とルクレツィアが走ってきた。
「ただいま。」
日常の光景なのだが、かなり嬉しそうに彼女がヴィンセントの頬におかえりのキスをする。
「今日はね、スペシャルな日なのよ。」
ヴィンセントの手をとって案内するように居間に導いた。
ー何かあったかな・・・
手を引かれながら、プレゼントとか忘れてたらやばいなぁ・・・と不安を感じつつダイニングに入っていった。
「あれ?セフィ今日はうちで食べるのか?」
ダイニングテーブルで席についていたセフィロスに声をかける。
「ねえ、パパ。どっちの夕食食べたい?」
ルクレツィアがヴィンセントにちゃんと見えるように、テーブルに並べられたディナーを見せた。
ホワイトソースとチーズがたっぷりのったドリアと、これまたこってりとしたクリームが美味しそうなカルボナーラがほかほかとテーブルにのっている。
ーうわっ・・・・どうしよう・・・。
どっちがいいの?と、全然セフィロスを無視して話を進めようとする彼女だったが、ヴィンセントは明後日の方向を向いているセフィロスに声をかけた。
「セフィ、自分が食べる分はあるのか?」
「心配するな。」
妙に楽しそうにセフィロスが答える。
「ぐずぐずしないで、直感で決めてよ。」
ルクレツィアが待ちきれないように言う。
「いや・・・そう言われても・・・・」
ーどっちも似たようなもんだしな。
本当は今日はそんなに食欲はないのだ。
どうも昼に食べたミラノ風カツレツがもたれている気がする。
すぐに答えないでいたら
「お前、何食べたいんだ?」
セフィロスが聞いてきた。
「っていうか、実行部隊の統括がこんな所で飯作っている場合じゃないだろう。いつ呼び出しがかかるか分からないのに。」
ヴィンセントが今忙しいのは、ウータイの現状分析と当地への潜入捜査のプランニングのせいだった。
最終的には実行部隊がその情報を元に動く、ということはセフィロスが出動するかもしれないので気が抜けない。
「今は暇なんだよ。」
二人の会話を聞いていて、ルクレツィアが抗議をした。
「そこ、私の知らない話をしない!今は夕食勝負なんだから!」
ヴィンセントがおっと・・・と気がついて、彼女に視線を移した。
「今日の気分としては、もっとおなかに優しいものが食べたいんだけどな。」
ドリアとか、パスタとかではなく・・・とヴィンセントが言うと、
「じゃあ、どっちも気に入らなかったの?」
とルクレツィアが寂しそうに聞いてくる。
「どっちも好きだけど、今日はもうちょっとあっさりしたものがいいんだ。」
「同じぐらいに好きだったの?」
彼女が食い下がってきた。
ええと・・・とセフィロスの方を見ると、もういいよ、という合図を彼がした。
「取りあえず三人で、夕食を食べないか。」
ヴィンセントが自分が食べたいものを作ろうと、キッチンに消えようとすると
「お前今日疲れてるんだろ。」
さり気なくセフィロスが彼に近付いて居間に戻す。
悪いな、とセフィロスに言ってヴィンセントはルクレツィアが座っているソファの隣に座り、彼女に寄り添って食事を待つことにした。
「やっぱり私セフィロスにはまだかなわないのかしら。」
「そんなこと無いよ。」
ルクレツィアのつぶやきに即答する。
「だって、今日もあいつの策略に乗せられてこってりしたもの作っちゃったし。」
「でも、セフィもそうしてくれたんだろ?」
ヴィンセントがそういう訳だったのか・・・と納得して楽し気に言い返した。
「でも、本当はパパ好みをどっちがより良く知っているか、が勝負だったのよ。」
「それじゃあ、絶対セフィの勝ちだ。付き合いが長いからね。」
残念!と、笑いながらルクレツィアの額にヴィンセントが軽くキスをした。
悔しいなぁ・・・とルクレツィアが、言って椅子の背に寄り掛かかる。
「セフィは時々すごいんだよ。私が言おうと思ってないとこまで勘付いてたり。」
ヴィンセントが話している途中で、キッチンからセフィロスがトマトのリゾットを手に持って来て、三人で若干遅い夕食が始ったのであった。
ーあっ・・・このリゾット美味しい☆!
さりげなくセフィロスを睨み付けるルクレツィアを、セフィロスがふふん、という感じで鼻で笑う。
ーもう!今度こそセフィロスにだまされないようにしなくっちゃ!
美味しくセフィロスの作ったりゾットを食べながら、自分の作ったパスタにちょっと口をつけるヴィンセントを見て、 あっ・・・私の作った方食べてる!と、内心優越感に浸るルクレツィアさんでした。



【First uploaded on June 30, 2007】
【Re-edited on April 7, 2014】

018. 見返してやるんだわ

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