3−1. ユ・ウ・ワ・ク

「赤銅隊長、返せよ、白雪を。」
「君がこの場所に来るとは、予想外だったな。」
鏡の間の手前のコントロールルーム(制御装置室)で藤丸は入り口に現れた赤銅泉に喧嘩を売った。
本当は当初の作戦通り、黒雪の執務室で全部何とかなると思ったが鏡の間に繋がる情報は、ハックするのに時間がかかり、精神異常の三人姉妹の邪魔もあって、ここに避難してきたのだ。
「尊に、元八王子藤丸区長はどんな感じだときいたのだが。」
獲物を狩る目つきで見られて、藤丸はびくっと一歩下がる。
「とてもいいと聞いた。期待してるぞ。」
いつもいる援護のケンや宗一、尊まで今はいない。
戦闘部隊と遭遇して相手をしているうちに、結局戦闘担当でない藤丸だけ残ってここにたどり着いたのだ。
ー万事休すか。
赤銅泉の攻撃をかわそうと藤丸が身構えると、足下にするっと紅い動きが見えた。
「白雪?」
泉を見ると嬉しそうに笑顔を向けるが、迷いなく藤丸の腕に飛び込んで来る。
「何だよ?何かあるのか?まだ。」
うんうん、と頷く様子に泉の顔は険しくなっていった。
「白雪、閣下の元を離れるな。」
泉が冷たい声で命令し、白雪はぷいっと顔を背ける。
「藤丸、白雪を説得しろ。」
ーえ!?
泉は藤丸のいるコントロールルームを後に去って行く。
「明日までだ。」
ー見逃してくれたのか?
白雪を抱きしめて藤丸は少し安堵した。

白雪は久しぶりの藤丸の腕の中で嬉しそうにしている。
「元気にしてたか?」
藤丸の言葉にこくこくうなずく。
「もうちょっとで助けてやれる、赤銅もくる。」
その言葉に嬉しそうに、白雪はちゅ、と藤丸の頬にキスをした。
「その前にお前のも含めて何とかしないとな。」
その好意に少し赤くなった藤丸は白雪に笑顔を向けて、自分の近くに座らせた。
「大丈夫。直ぐ終わるさ」
藤丸は鏡の間専用コントロールルームのハックの準備をする。
右手のプロテクターを外そうとした時、白雪が騒ぎ藤丸の動きを止めた。
「どうしたんだ?えっ!」
振り返ると、背後に赤銅泉が立っていた。
「阿久津藤丸。気が変わった。お前はやはりすぐに拘束が必要だ。」
コントロールパネルの中心に座っていた藤丸を泉は軽々掴み、持ち上げた。
「!!」
圧倒的な力の差に藤丸はここは、抵抗は無用だと感じる。
「白雪、逃げろ。赤銅の所に行け!」
ぐずぐずとその場から離れない白雪に、藤丸は命令する。
「白雪、早く!」
「白雪、目の前で味方がどうしようもなく追いつめられていたら、お前も考えるよな。」
藤丸を抱え直して、泉は白雪に向かって意味ありげな言葉をなげた。
「藤丸。」
抱えられた状態で、動く事もできない藤丸に泉は話しかける。
「今回はお前が白雪の弱点だからな。」
何をされるのか分からず、その視線にぞくっとする。
「お前の味を試させてもらう。白雪、見てろよ。」
「なっ!んっ!!」
自分がしていることを白雪に見えるように、藤丸を床に降ろすと、赤銅泉は彼の足を開き身体滑り込ませて、シャツを乱暴に脱がせた。
女のように華奢な上半身に艶っぽい黒髪が解けて髪が身体に広がる。
藤丸のあごを手に取り、自分の顔に近づける。
「いい顔だ。」
キッと睨みつける藤丸の表情に泉は言った。
「でも、いつまでそんな顔をできるかな?」
泉はすぐに藤丸の足の間に手を伸ばし、その中心を撫でさすり始めた。
「なっ・・・結局そうかよ・・変態め!」
「なんとでも。」
藤丸の下半身を脱がせて、彼を生まれたままの姿にしようとした。
「やっ!見んな!白雪!」
簡単に衣服をはぎ取られ、足を大きく開かされる。
「ケネス元区長は君がどうされるとショックをうけるかな?」
「なっ!!」
中心への刺激に少し息が上がっているが、まだ強気の藤丸の心を乱すには十分な言葉だった。
藤丸に覆いかぶさって、彼の動きを止め、一番敏感な足の間に指を滑らせる。
「例えばこことか。」
「はっ!!」
身体の奥の、その蕾にダイレクトに触れられて、藤丸は息をのんだ。
「や・・・やめろ!」
前を刺激しながら、後ろへ入ろうとする指の動きに藤丸は抵抗した。
目の端にまだ白雪がいるのが分かる。
「み、、見んな白雪!早く行けっ!!逃げろ!赤銅のところに!」
泉の下からは自力では絶対に逃げられない。
外へかけて行く紅いヴェールを確認して、藤丸は少しだけ安堵した。
「は、離せ。」
泉の下から逃れようと、藤丸は少し抵抗した。
「二人きりか。もう少し過激な遊びができるな?」
にやりと泉が笑って、藤丸の足を上げる。
「や、、やめっ!」
するりと藤丸の中に指を滑り込ませて、藤丸の胸に舌を伸ばしてきた。
「やっ・・・はっ・・・」
藤丸が動けないように、がっちりと上から覆いかぶさっている。
服を剥がされた裸の肌に、赤銅隊長の軍服が擦りついてきて藤丸の肌を刺激した。
「敏感だな。思った通り。」
大きく広げさせた足の太ももの付け根に舌を這わせた。
「!!あっ!!っ・・・あっ・・・」
繰り返される愛撫に藤丸はもう泉の思うままに身体を触られる。
「赤銅隊長、お楽しみの所申し訳ないが、ご苦労だった。」
このままいいようにされるのかと覚悟した藤丸だったが、聞き慣れた声がコントロールルームの入り口から聞こえた。
ーババァ!
「閣下、わざわざ申し訳ありません。」
軍服の上着をバサッと藤丸に掛けて、泉は黒雪に敬礼した。
「白雪と藤丸くんを一気に確保ご苦労。」
ー白雪!
逃げたと思っていたが、黒雪の腕に白雪が抱かれているのを藤丸は見てしまった。
「藤丸くんは一時君に預ける。よく教育したまえ。」
黒雪は踵を返して出て行こうとする前に思い出したように立ち止まった。
「藤丸くん、君は右手の能力に加えてその容姿も武器になるようだな。精進したまえ。」
「なっ、ふざけんな!」
「藤丸、それ着て黙ってろ。」
高笑いをして去って行く都知事に藤丸は残された仲間がどうすれば掴まらないか時間稼ぎを考えていた。




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