午後は大した仕事もなくセフィロスはきっかり5時に帰ろうと思った。
結局エアリスは今日は連絡が取れなかった。
まあ時差もあるので明日でも全然大丈夫だ。っと考えていると内線がなる。
「セフィロスだ。」
「よお。ザックスだ。今日お前これから暇か?」
ー暇・・・じゃないよな。
「久しぶりにクラウドと俺と飲みに行かないか。」
ーそれは久しぶりだ。
今の役職になってから1年ぐらいだが、立場が変わるとこんなに接する人が変わるとは思わなかった。
1年前はザックスとかとつるんで色々やっていたが、今となってはリーブ、ティファ、ルーファウス、
ーそしてヴィンセントか・・・
彼に会った時は最初は女性かと思ったが、
「おい、セフィロス自分の世界にまた入ってるんじゃないのか?」
クラウドの声でハッとする。
「悪いが今日は先約があるんだ。別の日だったらいいが。」
「そうか。残念。俺達明日からウータイヘ出張なんだ。」
ーウータイか。あそこも不穏な地だな。
「いつ頃帰ってくるんだ。」
「う〜ん。最初は2週間なんだけど状況によってのびるかもしれない。」
ザックスがつとめて明るく答えた。
ーやっぱりこいつはクラウドよりしっかりしてるな。
「気をつけろ。ウータイは特殊な戦闘を得意としている。
できるだけ情報を集めてから戦闘するように。
できればそんな状況に陥りたくはないがな。」
「分かった。ありがとう。」
「今回の指揮官は誰だ?」
ちょっと沈黙があった。
「実は俺なんだ。」
ザックスが照れくさそうに言う。
ーそうか。
「がんばれよ。無駄な戦闘は避けるんだ。」
「肝に命じとくよ。」
ー今日は飲みに行けると言った方が良かったかな。
セフィロスは自分の一番弟子の出陣を祝えなかったのをちょっと寂しく思った。
ーでも、だれでも部下より恋人(未満でも!)の方が大事だよな。
未満というのが納得いかないが、それを考えると、絶対自分の方を向かせてみせる!、と思い色々と考えを巡らせるセフィロスだった。



家にいて充分くつろいだヴィンセントはさて、セフィロスが帰ってくるのは何時になるのか?と思っていた。
ーできれば仕事が忙しくて帰ってこない方が嬉しいんだが。
セフィロスには可哀想だがヴィンセントはそう思っていた。
ーなんかあいつは私に異常に好意を持っているようだが、同性が一緒になっていい結果が起こった試しはないしな。
まあ、ヴィンセントは自分に対する好意に鈍感すぎる傾向がある。
あんな色々なことがあってそれぐらいに考えられるのはまだセフィロスの本気が伝わって無いせいか?とも思える感想である。
そう思ったら電話がなった。
「もしもし。」
電話に出るとセフィロスのなぜか勢い込んだ声が聞こえてきた。
「ヴィンセント?これから急いで帰るから。飯は食ったか?」
「いや、まだだが。」
「なら、何か買っていってやる。リクエストは?」
ーなにかがんばっているのか?
微妙に向こうのペースのはまりそうな予感がして、ヴィンセントは答えた。
「セフィロス、疲れてるだろう。なんか作るぐらいならすぐできるからすぐ帰っておいで。」
帰ってこない方がいいなんて思っていたくせに、ずいぶん思いやりのある言葉である。もしかしたらこの発言にセフィロスは何度も騙されているのか?
「ほんと!ヴィンセントが作ってくれるのか!」
単純に喜ぶセフィロス。
「いや、ホントに大したものじゃないから。なにか食べたいリクエストがあったら言ってくれた方が。材料買わなきゃいけないし。」
「別に何でもいいよ。」
そこはかとないうきうき感をヴィンセントは感じてなんかまずいかもと思いはじめた。
「セフィロス、今日はお前の話は聞かないからな。」
うっそんな。とセフィロスは思った。
今日はかわいい部下の初出陣の祝い飲み会を蹴ってまでヴィンセントの所に来たのだ。
目的を果たせなければウータイに出陣したザックスに申し訳が立たない。
「ヴィンセント、急いで帰るから。じゃ、あとで。」
電話は切れた。
ーこれってなんか作った方が良いんだよな。
いまいちセフィロスの真意が伝わっていないようだったが取りあえずキッチンへ向かうヴィンセントだった。

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