ーやった。後はヴィンを説得すれば一ヶ月一緒にいられる!
今日はヴィンセントの家に帰ると言っておいて良かったと心底思った。
ーあんまり目的が露骨に見えると引かれるだろうから、説得材料を集めておかないとな。
某国は最近内乱がおさまり、もともと一つの国だったものが民族ごとに二つに分かれた国だ。
戦争が終わったばかりなので両国は隣どおしでとても仲が悪い。
だから生化学兵器製造疑惑も隣国からの情報操作で相手国に国際的汚名を着せようとしているだけかもしれない。
ー大体内乱が終わったばっかりの国に生化学兵器を作る予算なんて無いはずだしな。でも、念には念をと言うところだろう。
だから人数も少なく、期間が長いのは独立後の国内状態を調べる期間も入れてのことだろう。
ーきっとこれだけ長いと隣も含めて調べた方がいいな。
某国の地図を見ながら考える。
ー砂漠の国か・・・ヘリとかあると便利だ。でも目立つかもしれん。足で回るとなると砂漠地帯をどうやって調べるかが難しいな。
現地調査員に登録してある人間を調べる。
ー男三人で歩き回るのはかなり目立つからできれば女性の方がいいだろう。
イントラの検索をかけると思わず手が止まった。
エアリス・ゲインズブール
ーあいつもこれに登録してるのか。
某国の民族構成を確認する。民族構成にセトラが載っている。
ただでさえ少数民族なのに構成に載っているということはこの国ではかなりの多数派だということだ。
ーいいかもしれんな。でもセトラがいる国が内乱なんて以外と根は深いのか。
セトラは民族としては平和主義だ。人を説得するのに人殺しをすることなんて絶対考えない。
ーマインドコントロールはするかもしれんがな。
とりあえず現地調査員連絡の為調達課へ電話する。
「はい調達課です。」
端切れのいい声が聞こえてきた。
「某国の潜入操作に現地調査員をお願いしたい。できれば、エアリス・ゲインズブールがいいのだが。」
「予定を確認してみます。」
カタカタとキーボードの音が聞こえてくる。大分たっても返答が無く、ちょっと待ってくださいと保留にされた、
大分待たされて電話切った方がいいか?と思い始めたら保留音が切れた。
「セフィロス?聞いてる?」
さっきとは違う声が出た。
「?」
「エアリスなんだけど、某国って最近まで内乱あったでしょ。
ネットワークが結構裁断されててちょうど連絡すぐ取れないところに居るのよ。
どうしても彼女が良ければ連絡を取ってみるけど、時間がかかると思う。
こっちで推賞できる人間を選んでもいいんなら探すけど。」
声をずっと聞いていてこれは聞いたことのある声だと思った。
まあ、誰か知りたいとは思わなかったが。
「能力があれば人は問わない。
ただ、こっちから男二人で行く予定なので女性がいいかと思っただけだ。
あと、セトラが内乱に関わった理由も知りたかったしな。」
「そお。う〜ん。セトラがいいといわれると結構選択肢狭いけど、女性で現地調査員ならそれなりにいたりするよ。
例えばこの子は柔術が得意だし、別の子はカンフーが」
ーって体術ばっかじゃないか。
「ティファ、いくらお前が得意だからってそんな片寄った人選はちょっと受け入れられないな。」
「ごめん。セフィロスついつい。でも、セトラがいいのならホントに選択肢は少ないわよ。エアリスか他は男性だもの。」
「いや、エアリス以外はダメってわけでもないんだ。
ただ、魔法が得意なやつの方が俺とヴィンセントのコンビだったら潰しがきくし、セトラだと色々気付くことが多いから、こんな調査にはうってつけだ。
あと、ヴィンセントと俺だと決断に迷うことも多いからズバット意見を言ってくれる人の方が良いかなと。」
「ヴィンセントは行くの決定なんだ。」
「まだ、本人に話をしていないから正式には。」
「ふうん。」
ティファはやっぱり女なだけあって感が鋭かった。
「私としてはセフィロスがわざわざ行くまでもない案件に思うわけよ。」
ー!以外とばれてる!?(汗)
「ヴィンセントも嫌だって言えばそれまでだし。」
「それはないかと。某国の言語に堪能なのはそんなにいないし。」
「でも、こんな任務だったらちょっと大事なことがあったらすぐに呼び戻されるわよ。
別に言語に堪能なっていうのはいつも挨拶みたいな条件だし。」
ーそれを言うなよ。せっかくの理由なんだから。
「そんな一緒にいたいんだ。」
「お前、露骨すぎるよ。」
セフィロスはずばずば言うティファにあきれた。
「たしかにあんたとヴィンセントのコンビだったら、エアリスが組むのが一番良いわね。」
「協力してくれるのか!」
ティファはセフィロスの素直に嬉しそうな声を聞いてこれはきかないわけにはいかないわと思った。
「まあ、できるだけですけど。連絡取ってダメだったら諦めてね。」
「そこまでしてくれれば十分だ。ありがとう。」
電話を切りつつティファは思わずくすりと笑ってしまった。
ーなんかいつもは無敵のセフィロス様がヴィンセントのこととなると突然下手になるのね。
多分一生懸命アタックしているのだろう様子が想像できてどうしても笑いが堪えられなかった。
「ティファさん?」
オペレーターの子が不思議そうに話し掛ける。
「ごめん、セフィロスの様子があんまりにも必死そうだったから、どうも笑いが止められなくて。」
「きっと人選が難しい重要な任務なんですね。」
「・・・まあ、ある意味...(笑)」
またつぼにはまりそうだったので化粧室でゆっくり笑おうとティファは席をはずした。
ーでも、二人がくっついてくれたら私としてはかなり嬉しいのよね。クラウドがあの二人のこといっつも気にしてるから、なんだかんだで落ち着かないし。
面白いし、自分の生活にも結構安定をもたらすカップルかもと思いティファはなるべくセフィロスに協力するかと思った。
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