ヴィンセントが寝室に引き取ってからさて、自分も寝るかとセフィロスが思った時寝室からふらふらとヴィンがでてきた。
ートイレか?
と思って見ていたらセフィロスの方に近付いてくる。
「良く考えたらセフィソファで寝るんじゃないかと思って」
寝ぼけているせいかいつもよりさらに優しく見える。
「寝室はいくつもあるんだから好きなところを使え。」
声をかけてそのまま帰るかと思ったら、隣に座りセフィロスの肩に頭を持たせかけた。
「セフィ、」
ーもしかして・・・
ドキドキする心臓。いいことかもしれないが、悪いこともかもしれないと冷静になれと自分の脳に言い聞かせる。
「セフィ、私はお前のことを一生大事に思っている。だからといってお前の気持ちに答えることは絶対ない。だから・・・」
ーだからなんだよ!
セフィロスは聞いていられなくなって目をつぶった。
「・・・」
その後続く言葉はなくてセフィロスはいたたまれない気持ちをでずっと黙っていた。
ヴィンセントの頭はずっと彼の肩に乗ったままだ。
「ねぇ、ヴィンセント。」
あまりにも会話の続きがないので声をかけた。
ーホントは続きを聞きたくないんだけどな。
耳もとで寝息が聞こえてきた。
長いまつげが規則的に寝息に合わせて揺れ動く。
ー寝ぼけていたのか?それにしてはちょっと嫌な発言だったぞ!
セフィロスは気持ちよさそうに寝ているヴィンセントを寝室へ戻すことにした。
ー可愛がるんだったら、起きてる方が俺は好きだし。
なんか不埒なことを時々(?!)考えているようである。



次の日ヴィンセントはいつも通り出勤した。
セフィロスがかなり一緒に行きたがっていたが、変な噂が立つのが嫌だったのでなんだかんだ言って止めさせた。
ーセフィロスももうちょっと大人になってくれるといいんだが。
仕事をしているセフィロスはかなり頼れる存在なのだが、ヴィンセントが最近見ているセフィロスは甘えモード全開なので誤解があるようである。
いつものオフィスに入るとリーブが声をかけてきた。
「おはようございます、ヴィンセント。ゆっくり休めましたか。」
「ああ。ありがとう。」
「早速ですが新しい仕事をお願いしたいのですが。」
「某国の件か?」
リーブはにっこり笑ってうなずいた。
「さすがですね。もしかしてセフィロスに根回しされました?」
「その通りだ。」
それをきいて。リーブはくすりと笑った。
「何がおかしい。」
「いやあ、彼はよっぽどあなたを取られたくなかったんですな。」
「・・・(あいつ、そんなに露骨に人集めしたのか?)」
ヴィンセントはやっぱり一言言ってやらねばと思った。
彼の微妙な表情を見てリーブは言葉を続けた。
「セフィロスを怒らないで下さい。特別なことは何も言っていなかったですよ。ただ、」
リーブはヴィンセントに座って下さいと言いながら、自分も腰をおろした。
「なんというか・・・分かってしまうんですよね。まあ、私は普段から人を見なければいけない立場なのでなおさらですが。」
ニコニコしながらリーブはいやあ、若い人たちは微笑ましいですねぇと言った。
ーあのなあ・・私は若くないぞ・・・
と思いながらヴィンセントはPCの電源をつけた。
「まあ、がんばって下さい。私としては良い息抜きができるんじゃないかと思ってお願いする面もありますから。」
「それが思ったよりも根が深いらしいぞ。」
ヴィンセントはリーブへ昨日セフィロスから聞いた情報を話した。
某国の内乱とセトラの関わりを解くための言い訳の調査依頼の話を。
なるほど、とリーブは言って、ならなおさらあなたに頼んだ方が良いようですね、と答えた。
「私としてはセフィロスの恋路を応援するだけと言うのも後ろめたかったので。」
「おい!」
冗談ですよ、とリーブ笑って席をたった。
ーまあ、ヴィンセントの気持ちはどうであれ、セフィロスと彼が並んで歩いている姿を見られるとなると、うちの女子社員達は大騒ぎするでしょうね。
リーブは楽しいレジャーが増えたと思い、席に帰る足取りが軽くなった。

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