人気のない夜に彼の寝室にこっそり入るなんて、後ろ暗いことがあるわけでもないのにドキドキする。
今日は満月の夜で、鍵がかかっていないドアをそっと開けて忍び入ったヴィンセントの部屋は、灯りを灯さなくても一部屋ぐらい見渡せる程の月光が窓から入ってきていた。
月明かりに照らされて、ベッドに横たわり薄い毛布をかけている彼は、はた目にも身体の線がくっきりと分かって、思わず本当にそこにいるか確かめたくなってすい寄せられていく。
彼のベッドに座った音が、ぎし、と響いた。
顔の近くに置いた手に安らかな寝息がかかるのが感じられる。
ーいつもこんなに大人しくしていてくれれば、楽なのに。
何がですか?という筆者の突っ込みは無視されて、嬉しそうにセフィロスは寝顔を見ながら彼の髪をさわっていた。
自分のものになって間もないせいか、警戒心のない無防備な彼は何度見ても見飽きない。
ー大丈夫、だよな。
あまりに反応のない彼に誘われている気がして、そっと毛布の上から彼の身体に添ってすうっと撫でた。
「ん・・・。」
少し身動きをした以外は気付いてないようだ。
眠っている表情を見ようと、彼の顔を覗き込みながらもう一度脇腹に添って手をすべらせると、そのやわらかい心地よい感触に思わずもっと下の方へ手が進んでいく。
「んっ・・・んん・・・」
声が聞こえて、思わず手を退けた。
少し様子を見ていたが、起きる気配はなかったので続きを試みる。
肩の毛布をそっと剥がすと、むき出しの白い肌が見えた。
ぼおっと浮かび上がる白磁の肌にそそられて、肩にキスをする。
2、3回唇を触れながら舌で刺激すると、
「んん・・・あん・・・」
と寝言のような声が聞こえてきた。
その声に誘われて、横向きに寝ていた彼にキスをしながら、仰向けに方向を変えた。
少し毛布を下げれば、彼の胸が見える。
迷わずに下へ押し下げて、彼の下半身に手を触れた。
「はっ、あん・・。」
ヴィンセントが夢の中でどんな光景で、感じているのかは分からない。
セフィロスは彼の密かな喘ぎ声に促されて、目の前に見える乳首を口に含んだ。
「あっ・・・・・・ん・・・」
聞こえてくる声に合わせて更に思う存分愛撫すると、囁くようにヴィンセントは喘ぎ声をあげる。
ーヴィン、・・・いいよな?
色っぽい彼の反応にOKを出されたことにして、セフィロスはヴィンセントの中を探り始めた。
「あんっ・・・なに?」
蠢く指に目をさまして、朦朧とヴィンセントは自分がどうなっているのか確認しようと目を動かした。
「セフィっ・・・あっ・・、やめっ・・!」
すぐ近くに見えたセフィロスに、何となく様子が分かって、胸の所にある頭をどけようとして、声をあげた。
「やだ・・・あ・・・とめて・・・。」
ヴィンセントの言葉を無視してもっと気持ちよくなるように、前も触れると彼の腰が動く。
「ヴィン、やらしーな。」
「あっ・・・はあっ・・・」
身体に申し訳程度にかけてあった毛布はすっかり退けられて、全裸の彼がセフィロスの愛撫に翻弄されて、身体をくねらせているのがよく分かった。
「毛布の下はいつも何も着てないのか?」
キスしながら、耳もとに囁く。
「いつもじゃ・・・」
まだ完全に頭が起きてないので、ぼーっとしながら答えた。
「こんなに誘っているなら毎晩来るから。」
ちが・・・と言いかけて、セフィロスの愛撫に反応して喘ぐヴィンセント。
既に十分感じている肌を撫でながら、足を開かせていく。
「ああ・・・やあっ・・・セフィっ・・・」
想像もしていなかった展開に、混乱しながらセフィロスに抱きついた。
「んっ・・・ヴィンって美味しいな。」
ちゅるっと舌先で彼の乳首を遊ばせて刺激すると、ああんっ・・・と高い声をあげて腰を振った。
「下半身にくるんだ。」
「ちがっ・・・」
その言葉と同時に小刻みに蠢く指に反応してヴィンセントの腰が震える。
少しずつ頭が起きてきた感じがしたが、実際にはセフィロスが彼に触れる唇と指に翻弄されて、朦朧としながら彼に身体をすり寄せっぱなしだった。
思ったよりも素直な反応に、セフィロスはだんだん夢中になってくる。
一緒に住んでいるルクレツィアが今日から旅行に行くというので、機会があったら一回ぐらい会いたい・・・と思って今日来たのだが・・・。
「はあっ・・・んっ、セフィっ・・・。」
自分の考えに耽りそうになった時、ヴィンセントの声が聞こえて来たので見ると、潤んだ瞳で見返された。
「感じてるんだ。」
セフィロスが楽しそうにヴィンセントにまたキスして、彼の中にある指を動かす。
「セフィっ!んっ、・・あっ・・。」
目をぎゅっとつぶって声を殺そうとした時に、ひくりと身体が動くのが分かる。
唇を離して、首筋に口を寄せて言った。
「もっと乱れてよ。あんあん言ってすり寄ってきて。」
「そんっな・・・あんっ・・・やめっ!」
セフィロスの頭がヴィンセントの身体を下の方へなぞっていって、足の間に入っていった。
「すっごくよくしてやるよ。」
指を出し入れしながら、セフィロスはヴィンセントの腰を浮かせた。
「?あっ・・、はっんっ!だめっ!」
勝手に頬が赤くなって、腰が揺さぶられた。
「ここがいいか?」
セフィロスが、ヴィンセント自身に舌を這わせ始める。
「やあっ!やめっ・・・ああっ!」
腰が動くので、しっかりと押さえ付けるセフィロス。
「あん・・・ああっ・・・!だっつめっ・・・はあん・・・」
彼を口に含みながら表情を見ていると、乳首が固く立って眉を寄せて声を上げていた。
「ヴィン、美味し・・・」
「あっん・・・はあっ.あはぁん・・・」
やめて・・・と言いながらも、セフィロスが少し力を入れてさらに足を広げようとすると、素直に開いてくる。
ヴィンセントの身体を自分へすっぽりと納まるよう抱いて、覆いかぶさった。
「すごい足開いちゃって、何して欲しいんだ?」
「あっ・んっ・・・・別に・・・何も・・・」
セフィロスが、ヴィンセントの中に入れていた指をくにくにと動かした。
「ああっ!・・・やあ・・・」
少し頭が起きてきたので、ちょっと・・・と、ヴィンセントがセフィロスを退かそうと身動きした。
「ダメだよ。」
彼の中から指は出さずに、抱き締める。
「一体・・・はんっ・・・何しにきたんだ?」
濡れた瞳で見てくる彼の今さらな質問に楽しくなってくる。
「俺がお前と夜にやりたいことって、一つだけだと思わない?」
かっ、と頬を染めた彼の身体に丁寧に舌を這わせていくと、
「はあ・・・あんっ・・・」
と色っぽい声が聞こえてくる。
「ヴィンが感じてる声聞くの好きなんだ。」
すっかり固く立っている彼の乳首を舌先で転がして、反応する声に聞き惚れる。
「ここの次はどこがいい?」
くちゅ、と吸ってから聞いてきた。
「あっ、はっ・・・ん・・・、もう・・・」
「もう?」
両方の胸の先を舌と指で転がすと、あっんっ、と喘ぎ声がまたもれる。
「明日早いから・・・、もうこの辺でいい・・・。」
彼の腕の中からすり抜けようと動くのが分った。
「ヴィンだけ気持ちいい思いして終わりなんてダメだよ。」
彼の中の指をくちゅり、と動かした。
「あんっ・・・勝手に人の身体を・・、撫で回してる・・・はあっん・・くせに。」
自分の顔の横に見えるセフィロスを睨み付ける。
「撫で回されて感じてるのは誰かな?」
かっとまた赤くなったヴィンセントの顔が目に入って、深くくちづけした。
ずっと彼の口の中を舌でまさぐって味わっていると、彼の頬の赤みが目の方まで上って来て、とろんとした瞳の色に変わって目が閉じられた。
唇を離してすぐに首筋に口付ける。
ヴィンセントの腕がセフィロスを抱き締めようと、彼の背にまわって来た。
彼の身体に跡を着けようと、少しずつキスの位置をずらして付けていく。
「ヴィン、あいつ等にはもう言ったのか?」
もうOKだと分かったセフィロスが、話しかけてきた。
「祠の方にはまっ・・だっ・・・」
口付けに、ひくん、と反応してセフィロスの動きを止めようと手を伸ばす。
「ここのルクレツィアには何て言ったんだ?」
好きなだけ彼の身体にキスしたあと、耳もとに低い声でヴィンセントに囁いた。
「特に、これと言って何も・・。あんなことがあったから分かるだろうと、思って・・。」
ヴィンセントの答に、セフィロスが少し考え込む様子を見せた。
彼の愛撫が止まったので、ヴィンセントが一息つく。
甘えるように彼の顔に頬ずりすると、ヴィンセントがセフィロスの頭を抱こうとした。
「あっ!・・・・・・、んっ!!」
そっとセフィロスが囁いた瞬間に、下半身に違和感がして思わずしがみついた。
我慢できなかった彼が、すこしずつ中に入ってくる。
「俺があいつに言おうか?」
身体を進めながら言うと、
「はぁ・・・・・・、ど・・・どうやって?」
とヴィンセントが薄く目を見開いて聞いてくる。
「パパを下さい、とか?」
一瞬彼が緊張したのが伝わって来た。
間をおかずに動き始めると、
「セっ・・・セフィっ・・・あっ・・・んっ・・・」
と悩まし気な表情をする。
ヴィンセントの頭を抱き、キスをしながら動きは止めずに話しかけた。
「俺がヴィンとことが好きで好きでしょうがないから・・・・いや、ヴィンが俺のことが好きで好きでしょうがないみたいだ・・・とか?」
はあっ・・と彼の動きに声をあげて、ヴィンセントはセフィロスの頭を抱いて自分の方へ向かせた。
彼に軽くキスをして目を見る。
「私が・・・セフィのことが好きだから、であの子は納得するんじゃないか?」
そう言った時の、ヴィンセントの優しい濡れた瞳にどきっとした。
彼を初めてみた時のような、心臓がどきどきする感触がしてセフィロスは思わず彼の首筋に顔を埋めた。
「セフィ?」
どうしたのかと思ってヴィンセントが声をかける。
「ヴィンはさぁ、・・・・・・」
自分の今の心臓の鼓動を悟られないように、愛しそうにヴィンセントの髪をやわらかく撫でる。
「俺が今の瞬間どんなに嬉しいか分かってる?」
やっとヴィンセントに目を合わせて少し動くと、あんっ、と彼が悶えた。
「セフィっ・・・、だからっ・・・」
言葉を紡ごうとした彼の唇を塞いで、身体を動かす。
だんだん切羽詰まっていく感覚に、ヴィンセントの息があがって来てセフィロスを抱き締めた。
「ヴィンっ・・・」
はぁっ・・・と大きく息をして、彼の中を探る。
「やっ・・・セフィっ、はぁっ・・・」
その感触に耐えられず背を逸らせて、ヴィンセントは甘えるように抱きついて来た。
「俺がずっと前からヴィンが好きだったって、知ってたよな。」
耳もとに囁き、唇を指を彼の感じる場所に触れてセフィロスが彼を口説く。
「セフィっ・・・」
セフィロスの背中にかかっていた手が、彼の頭を抱き寄せてきた。
「私もそうだったって、知ってたか?」
まともに目をじっと見て言われて、変な所が反応する。
その時、ヴィンセントが、あんっ、と抱きついて来た。
「あっ・・・ヴィンっ・・・」
と反射的に腰を動かすと、ヴィンセントが彼を求めて深くキスをした。
「はぁんっ・・・・・ああっ・・・!」
あまりの気持ちよさにセフィロスが彼をまさぐったのに、ヴィンセントが声をあげる。
ーヴィン・・・好きだ・・・。
ぎゅっと抱く腕に力がこもる。
「あっ!・・・・・ああっ!・・・。」
ヴィンセントが眉を寄せて身体を震わせた次の瞬間、セフィロスも大きく息をついて身体がぐったりと弛緩した。
汗ばんだ彼の身体が、荒い息で上下に小刻みに揺れる。
「ねぇ、ヴィン。」
まだ息が整わないままに、ヴィンセントにすりよると下腹の辺りが濡れていた。
何度もキスして閉じていた彼の目を開けさせる。
上がった息が少し戻って来て、目を開けたヴィンセントに
「すごい良かったろ?」
と得意そうに話しかけた。
目を何度か反らそうとする彼に無理矢理目をあわせる。
「セフィは何で、・・・はぁ・・私のことを・・・よく知ってるんだよ。」
悔しそうな顔でヴィンセントが言う言葉に、
「そりゃあ、何度もイメトレしたから。」
と答えた。
「・・・・エロ・・・いや、変態・・・。」
ちょっと睨みつけてきた顔に、
「もっとして欲しいのか?」
とおかしそうに聞き返した。
「そんな訳、ないだろう・・・。」
ぷいっと顔をそむけようとしたら、セフィロスが唇にキスして来る。
「セフィっ・・・んっ・・・」
顔を逸らせたいのに、なかなか許してもらえない。
ベッドの側にある窓からは西に落ちつつある月が見えた。
沈む月光に青白く彼の身体の線が仄かに照らされて、それが色っぽくてまた触れようとすると、
「・・・。・・祠のルクレツィアには・・・、息子さんを下さいっていうか。」
と、ヴィンセントがふっと言った。
「断わられたらどうすんだ?」
ヴィンセントの返事を楽しむようにセフィロスが聞く。
「それは・・・」
年上と思えない様子で戸惑って言い淀んでいるのがおかしい。
どう答えるのかと、彼の黒髪を指に絡めて待っていたら、シャワーを浴びようとヴィンセントは身体を起こした。
「ヴィン、のど乾かない?」
毛布を纏って行こうかどうしようか、迷っている彼に話しかける。
「居間で飲むよ。」
結局着替えと一緒に持って行くバスタオルで、軽く身体を隠して浴室へ向かうヴィンセント。
ー今さら隠すこともないだろうが・・・。
部屋を出て行く彼を見つめながら、本当はベッドで絡みながら飲みたかった・・・とよこしまな考えが頭をよぎるセフィロス様。
ーまあ、どこでも同じか。
自分も一度シャワーを浴びようとゆっくり身体をベッドから起こした。


髪をすっかり乾かしてからセフィロスが居間に入ったら、ヴィンセントがサイドボードの写真を眺めていた。
ソファに彼が座った気配に気付いて、アイスティーをグラスに注ぐ。
「アルコールじゃないのかよ。」
「そんな酔っぱらうような時間じゃないだろう。」
彼の目の前にそっとグラスを置くと、中の氷の、カラン、と言う音が響いた。
「あいつもおっきくなったよな。」
ヴィンセントの視線の先にある彼女の写真を見て、セフィロスが言った。
「今度彼を家に連れて来るって言われた。」
写真立てに入っている写真は4、5年前の、まだハイスクールに入ったばかりの頃のものだ。
「寂しいのか?」
「いや・・・。何か複雑なんだ。」
アイスティーを少し飲んで、セフィロスの正面のソファに座る。
「彼女がどんどん成長して、私にもルクレツィアの歳にも追い付いて来て・・・。いや、正確にはちゃんと私は年をとっているから違うんだけど・・・。」
最近兄妹によく間違えられるし・・・、と空になったグラスを少し揺らした。
ー何を悩んでんだか。
頬杖をついて、明後日の方向を見ながらため息をつくヴィンセントに、
「もうちょっと飲むか?」
と聞くと軽く頷いた。
グラスに注ぐのに、さり気なく彼の隣に移動する。
「ありがとう。」
と開いた彼の唇に手を伸ばして、丁寧に指で触れる。
されるがままの彼に、
「俺とこんなことしてる時点で、年の差で悩む資格ないんじゃないか?」
含み笑いをした。
「セっ、・・・・セフィの場合は、全然違うじゃないか。」
一瞬絶句して、ヴィンセントは慌てて反論する。
「どこが?」
と、にやにや笑いながらセフィロスが答えた。
「大体、セフィのことはちゃんと考える暇なんてなかったし・・・。」
と取り繕うような返事が返って来る。
ー・・・たっぷり10年あっただろうが・・・。
支離滅裂な言い訳に、あきれた。
いつもは余裕で彼を見つめる瞳が、きまり悪そうに反らされる。
「俺の場合は、そんな選択肢思いつかなかったって自惚れていいのか?」
と言いながら、自分の方を向かせようと彼の身体をそっと撫でた。
服の上からでは、さっきのすいつくような感触がなくて少し物足りない。
「セフィは、小さい頃は素直でいい子だったのに。・・・大人になったら強引でわがままで、ほんっとに手がかかるし・・・。」
目を反らせたまま、育てた親の顔が見たい、とヴィンセントがため息をつく。
「そんな俺がずっと好きだってヴィンはさっき言ってたけどな。」
セフィロスが身体を触れている感触が無くなって、どうしたのかと顔を向けたら、すとん、とソファに押し倒された。
「大体一回じゃ全然足りないから。」
ヴィンセントのシャツの隙間に手を差し入れて、肌の感触を確かめる。
ー・・・いきなり来て好き放題した上にこれだから・・・・。
心の中で、はぁ・・・まったく、とダメだしするヴィンセント。
「セフィ、アイスティー飲みたいんだけど。」
と、身体をまさぐる手を、がしっ、とつかまえて、きっぱり目を見て言った。
「お好きにどうぞ。」
ぱっ、とセフィロスが彼から手を離して、ヴィンセントはグラスに手を伸ばした。
彼がアイスティーを飲んでいる様子を見ながら、少しずつ肩に寄り掛かって来る。
「飲み終わるの待ってるんじゃないだろうな。」
肩にかかった重みに、ヴィンセントがちらりと見て言った。
「俺がそんな紳士的に見えるか?」
「・・・・・・。」
まるで自分の身を守るかのようにグラスから手を離さないヴィンセントを、にやにやしながら観察する。
ーこんな緊張感があるから、セフィのこともちゃんと考えられなかったんだよ。
視線を感じながらも、ヴィンセントはサイドボードの反対側にある窓の外の夜を眺めた。
月がすっかり沈んで、都会でも見られる明るい一等星が真っ暗な夜空に瞬いている。
「俺の母親に報告に行く時は、付き添ってやるよ。」
ヴィンセントをこっちに向かせようと、セフィロスが話しかけた。
「来なくていいよ。二人っきりで話したいこともあるし。」
と答える。
「万が一ってこともあるから、見張っとくんだよ。」
言い返す彼に
「万が一ねぇ・・・。」
ふうん、と微笑んで含むようにヴィンセントが言った。
顔を縁取る艶やかな黒髪が、漆黒の夜空に映える。
少し見つめられて、誘われているのかと彼の手に自分のを重ねた。
「万が一があって欲しいのか?」
その瞬間、静かにヴィンセントが口を開いた。
ーそんなわけない。
彼の言葉に答えるのももどかしく、ヴィンセントの手を引いて自分の方へ抱き寄せるセフィロスだった。

030. ティータイム

お題はこちらから借りています。

カップリング創作好きに100のお題
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