「あのさあ、セフィロス聞きたかったんだけど、」
バーに移動してからザックスが思いきって話しかけた。
クラウドのしゃれたバーと言っても、ソファ席と暖炉前のくつろいだ席があるだけで後はカウンターバーがあるだけだ。
四人は暖炉前のソファにヴィンセント、セフィロス、その正面にザックス、クラウドの順に腰掛けている。
「俺は結構いろんな女の子を紹介して来たと思うんだけど、みんな見かけが気に入らなかったわけ?」
セフィロスの返答に思わず注目する、ヴィンセントとクラウドはかたずを飲んで見守っていた。(笑)
セフィロスはザックスが今迄に紹介して来た女性を思い起こしてゆっくり答えた。
「確かに、容姿は好みじゃなかった。でも、恋愛はそれでできるわけじゃなかったから取りあえずはその場は我慢して話を聞いてはいたな。でも、話をすればする程全員性格も俺好みでなかったな。」
セフィロスの正直な意見にがっくりしたザックスに、クラウドとヴィンセントがねぎらいの言葉をかけた。
「ほら、セフィロスって俺様な男だから一般男子が普通は女の子に我慢できるような常識が全然通用しないわけよ。お前が悪いわけじゃない。」
クラウドが素早く声をかけると、
「まあ、小さい頃からセフィを見ている私から言わせれば、セフィって第一印象でほとんど人の好き嫌いを決める人間だから。」
ザックスが、そうなんだ、とヴィンセントの方を見て確認すると、
「まあ、十中八九は・・・」
とヴィンセントがあの子は結構鋭い子だしな・・・と答えた。
そんなこと言うあんた何者?、と聞こうとしたザックスを
「おい、ザックス。俺の連れに絡み過ぎだぞ。」
とセフィロスが遮った。
そのあとは、ザックスはクラウドとセフィロスはヴィンセントとお互い聞こえないような話を30分程続けていた。
そろそろ帰ろうかとザックスが思った時にクラウドがセフィロスの様子に身を乗り出して止めようとしていた。
「ほら、クラウドが見てるじゃないか。」
今にもシャツの襟の隙間から手を滑り込ませて、キスをしようとしているセフィロスにヴィンセントが言っていた。
セフィロスの手がお構いなくするりとシャツの中をまさぐると、何か快感のポイントをついたらしく、ヴィンセントが、
「あっ・・・」
と声を上げて少し身体を逸らせた。
それを見たザックスは
ーこの人、そこら辺の女より色っぽい・・・
と、思わずヴィンセントを見つめていた。
「ザックス、惚れてもお前の付け入る余地はないぞ。」
視線に気付いたのか、セフィロスがザックスに言う。
思わずヴィンセントをほおけて見ていたことに気付き、正気に戻るザックスだった。
ヴィンセントが、セフィちょっと飲み過ぎじゃないのか、と赤くなって身体をまさぐるセフィロスの手を離す。
まあ、俺には関係ないよな・・・とザックスは思いつつもう店出ような、とクラウドに声をかけた。


バーの出口でセフィロス、ザックス、クラウドが三人時間をつぶしていた。
ヴィンセントがちょっと遅れて出て来る。
「お前らヴィンのことはあんまり言いふらすなよ。」
ヴィンセントが出て来る迄の間にセフィロスが言う。
あっ、はいとクラウドとザックスが答えるのをセフィロスは念を押した。
「あいつの存在は組織の秘密事項でもあるだ。あんまり口外しないでくれ。」
それを聞くと、セフィロスの彼に対する今日の行動も色々聞けない感じで、面白くないと思うクラウドだった。
「でも、あんな容姿の人目立たないはずないんじゃないか。」
クラウドがもっともな意見を言う。
「だから、なんとなく顔を覚えられるのは仕方ないとしても名前とか連絡先とはは極力教えないようになってるんだよ。」
ヴィンセントがお待たせ、と言ってでてくると、じゃあ言ったこと守れよ、と言ってセフィロスとヴィンセントははザックスたちと別れた。
「なんか今いちしっくり来ないんだよな。」
寮への帰りがけにザックスが呟いた。
「ああ、さっきの二人?」
クラウドが促す。
「旦那があの黒髪の美人を好きなのは分かるんだけど、ヴィンセントの方がな。」
「恋人っていうのも、お試しのデートって言う感じでもなかったよなぁ。」
うーん、とうまい言葉が思い付かずにクラウドが腕を組む。
「保護者?かなぁ。」
ザックスがぼそっと言うと、それなんかしっくり、とクラウドも同意した。
「セフィロスが絡んで来るのをいなしてる感じなんか特に。」
さっきのバーの出来事を思い返しながらクラウドが付け加える。
「でもさぁ、見かけからしてどうみても旦那と同じか下っぽいんだよな。」
何なんだろうな、クラウドにザックスが振ると、
「ティファに聞いてみるか。」
とクラウドが提案する。
そうだな、とザックスも頷いて月曜にでも聞いてみるかと呟いた。

 

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