サル山の次はコウモリとかのいる夜行性の動物のエリアへ移動した。
昼間でも夜を演出するエリアなので、大きな建物の中に狭い通路が縦横無尽に渡っている作りになっていた。
ーここ気付かれそうじゃない?
通路事体が狭く、脇道のない作りなので、クラウドがザックスに聞いて来る。
ー出口で待つのもありだけど、それじゃあ過程が見えないし・・・(←過程は重要ですよ!)
思いきって慎重に追跡するか、とザックスがクラウドに言うと彼も頷いた。
セフィロスとヴィンセントはプレーリードッグのところでちょっと立ち止まっていた。
「あのさあ、何で動物園にしたわけ?」
セフィロスがずっと思っていた疑問を口に出す。
「セフィ、動物園に来たことあるか?」
ヴィンセントが聞いて来るのをセフィロスは自分の記憶を思い出していた。
「覚えてる限りでは、ないな。」
「じゃあ、良かった。子供はこういう所に来て成長をするものだからな。」
「結局俺まだ子供扱いなわけ?ひどくない?」
セフィロスが抗議したが、ヴィンセントはくすくす笑うだけで取り合わなかった。
目の前のプレーリードッグは比較的広い敷地内を同じ場所を何回も行き来している。
セフィロスは思わずさっき子供がキスした場所に自分も唇を触れていた。
「なんだよセフィ。」
ヴィンセントがキスされた頬に手を当ててセフィロスの方を向く。
「子供っぽい嫉妬。」
ヴィンセントを見ずにセフィロスがプレーリードッグを見ながら答えた。
ちなみにザックスとクラウドは二人から3〜4mしか離れていないので、かなり慎重に距離を取っていた。
ー今キスしたよな。
ザックスがクラウドに確認する。
ーした。
うわ〜旦那本物かいな、とザックスが思った時ヴィンセントがちらりと自分達の方を向いた気がして、あわてて視線を反らした。


11時30分近くになると土曜のこともありかなりの人込みになってきた。
「食事はどうする?」
ときいてきたヴィンセントに
「一回外に出るか?」
とセフィロスがきいてきた。
う〜んどうしようかな、と迷っていると、
「昼は中華、夜はオイスターバーにしないか?」
とセフィロスが言ってくる。
ヴィンセントは色々気になることがあったのだが、まあ今日はセフィロスサービスデーだし、と思ってそのままセフィロスについて行った。
二人をつけていたザックスとクラウドは、二人が入っていった店の門構えにちょっと後ずさりしていた。
「俺達に払えるか、この店。」
立派な竹林の生えている庭が奥に見える門構えにもちろんメニューなるものも無く、予算が立てられない。
「昼飯だから払えない程のことも無いだろうが・・・」
こんなセフィロス調査の為に使う金とも・・・と思い、ザックスは近くの適当な所で待ち伏せようとクラウドに言った。
中華にしては珍しく個室に入れられて、ヴィンセントはお前予約してただろう、とセフィロスに言った。
「どうだろうな。」
セフィロスがにやりと笑ってメニューを手渡す。
メニューを見て迷っているヴィンセントに、取りあえず夜に食べるから牡蠣は無しな、と釘を差すセフィロスだった。
注文を一通りして、落ち着いてからヴィンセントとセフィロスは向き合った。
「あのさ、」
二人で言いたいことがあったらしく思わず同時に話し掛けた。
セフィ先にいいよ、とヴィンセントが話し掛けると仲居の人が飲み物を持ってきた。
全部テーブルに揃ってからセフィロスが
「ヴィンの幽霊調査があっただろ。あれ、多分うちのザックスとクラウドが原因で一般人が入り込んでるっぽいから。」
ごめん、とセフィロスが言うのをヴィンセントが多分そうだろうと思ってたから、とセフィ謝ることは無いよと声をかけた。
「でも、俺は実行部隊の責任者だから、ヴィンには申し訳ないことをしたとは思う。」
それをきいて、セフィはやっぱり会社では責任のある立場なんだなぁと思い、楽し気にセフィロスの様子を見ていた。
「ヴィン、何だよ。」
いつまでも声をかけないヴィンセントに、セフィロスが下げていた顔をあげる。
「いや、セフィも立派になったな、と実感して楽しく思っていたわけ。」
ヴィンセントが言った。
ヌーベル・シノワ風の中華だったのでアミューズ、前菜が順々に並んでいった。
「ところで、ヴィンは何が言いたかったわけ?」
食事を片付けながらセフィロスが聞く。
ヴィンセントが箸をおいて、ちょっと考え込んだ風を見せた。
「今日、後を付けている人間がいる気がして。」
ちょっと何だよそれ!とセフィロスが食い付くのを聞いて、そんなに不穏な人間じゃ無いと思う、とヴィンセントが感じたことを言い始めた。
「まあ、動物園の入り口から何となくそんな気配はしたんだが、プレーリードッグの辺りでどんな感じの人間か何となく分かったので。」
って、だれだよ!とセフィロスが聞くのでじゃあつかまえようか?とヴィンセントが言い返した。
「できるのか?」
「相手が警戒して無いので多分。」
ヴィンセントが言って来るので、じゃあ、とセフィロスは頼むことにした。
ーでもさあ、良く考えてみたら俺の為のデートイベントなのになんでこんなことしなきゃいけないんだ?
せっかくの休みでヴィンと一緒なのに・・・と多少不満に思いながら食事を続けるセフィロス様でした。


Back/Next