次の日の午後、ヴァレンタイン家の居間にセフィロス、クラウドが来て事件の打ち合わせをに集っていた。
クラウドが一番に来て、セフィロス、最後にリーブが暇つぶしにやってくる。
リーブがルクレツィアの姿を見て、にっこり笑った。
「っていうか、このガキ今日は学校に行ってるんじゃ無かったのか?」
セフィロスがずけずけいうと、黙れよ、とヴィンセントが口を出した。
彼がルクレツィアの隣に座って、打ち合わせが始った。
「セフィ、取りあえず色々調べてみたんだろ。何か分かったか?」
ヴィンセントが、ルクレツィアに安心させるように彼女の様子を心配しながら聞く。
そんな彼の様子を見てちょっと不満そうだったが、
「結局良く分からないんだ。ヴィンが調べた方が効率いいかも。」
と答えた。
「ほんとに何にも分からなかったのか?」
「いや、ちょっと変なことはあったけど・・・」
「何?」
セフィロスはルクレツィアをちらっと見て、口をつぐんだ。
「セフィロス、もったいぶるなよ。」
クラウドがチャチャを入れる。
ヴィンセントが不思議そうな顔でセフィロスを見ると、
「っていうか、この話を聞いたらそのガキも危なくなる気がしてさぁ。クラウドもだけどな。」
「どういう意味だ?」
ヴィンセントが聞いてくる。
「某国の件で調査した、実験施設の黒幕の話が絡んでる気がする訳。」
それはまずい・・・とヴィンセントは呟いたが、
「でも、ルクレツィアは知ってても知らなくてももう関係者だから。」
と言葉をつないだ。
「クラウドはまだ大丈夫だと思う。」
とヴィンセントが言ったが、10歳の子が大変なことに巻き込まれているのに、自分だけ逃げるなんて、クラウドはできない性格だった。
「俺は大丈夫だよ。もうソルジャー3rdだし。」
「ほんとに?」
ルクレツィアがいきなり言葉をかける。
「ルクレツィア。」
ヴィンセントが彼女をたし舐めると、
「お前、クラウドのどこが不安か言ってみろ。」
とセフィロスがルクレツィアに聞いてきた。
「うーん、セフィロスよりもかなり弱そう?あと頼り無さそう。」
ちょっと!とヴィンセントがとめる間も無く、ルクレツィアの言葉にがっくるクラウドだった。
「そのガキ生意気だけど、人を見る目はちょっとあるから。クラウド精進しろよ。」
はい、と力無く返事をしたクラウドだった。
「気にするな、クラウド。子供の言うことだ。」
ヴィンセントがクラウドをフォローする。
「どっちにしても黒幕の話はあんまり人に聞かせたく無いな。ヴィンとリーブ。」
セフィロスが二人に声をかける。
「ちょっと時間をおいて話をした方がいいから休憩にする。」
と話を切った。
更にヴィンセントに話し掛けようとすると、
「ちょっと、セフィロス。尾行について聞きたいんだけど。」
とクラウドに呼び止められ、ルクレツィアを休ませようと部屋に引き取るヴィンセントを呼び止められれずに、ソファに再び手持ち無沙汰に座ることになったセフィロス様でした。
セフィロスが部屋に入ると、ルクレツィアがかなり不機嫌な感じでヴィンセントを睨んでいた。
ヴィンセントはちょっと困ったような表情をしていたが、彼女の手を取って言い聞かせている。
「だから、ルクレツィアずっとこの家に弟といるのは危ないから。学校に行くのと一緒に昼間も人がいるおじさんの所とかに引っ越した方がいいよ。私ももうずっと昼間いられなくなってきているし。」
「いや。ここがいい。」
「私もルクレツィアに何かあったら心配だから。」
「・・・ヴィンセントは私が邪魔なの?」
ー・・・ぜってぇヴィンの負けだな。これは。
ちょっと目に涙をためて聞き返す彼女に完全に押されている感じだった。
「ヴィンさぁ、ちょっと聞きたいんだけど。」
ちょうどいい感じでセフィロスが二人の会話を中断する。
ヴィンセントがほっとした感じで、ルクレツィアの髪を撫でて、ちょっと待ってて、と声をかけた。
ドアの側にいるセフィロスの方へ来る。
「なに、セフィ。」
「明日から、実地調査俺が一緒に付き合うから。」
「来なくていいよ。」
「何で。」
即答で断わったヴィンセントが、壁に寄り掛かってセフィロスを横目で見た。
「もともと一人でやるつもりの調査だったし、クラウドが一緒にいるのは勉強だと思ってたからで、誰かといると困ると思う時もあるんだ。」
「でも、あのガキンチョがついて来てる時あるんだろ。」
ヴィンセントが少し間をおいて頷いた。
「その時は慎重に距離を取ってるよ。」
「そういう風にしている方が危ないんじゃないか?何であのガキがついて来ているか聞いたのか。」
ヴィンセントが首を振る。
「でも、大方母親を殺した犯人を捕まえたいんだと思うけど。」
セフィロスがちょっとため息をついた。
「あのガキ見た目よりもかなり大人だぞ。ちゃんと話した方がいい。ヴィンはすぐに人を子供扱いするからな。」
了解、とヴィンセントが答える。
「あと、尾行が二人いたって初めて聞いたけど。」
セフィロスの目が真剣になっている。
「クラウドが言ってたのか?」
ヴィンセントが聞き返した。
「ああ。で、二人めはあいつにはきっと荷が重いだろうから俺が交代する訳。」
「セフィ・・・、二人目が、黒幕の関係者だと思ってるんだろ。」
ヴィンセントが言うと、セフィロスはにやりと笑った。
「まあな、可能性の問題で念のため調べるだけだが。」
話をしていて気付くとルクレツィアがヴィンセントの側に来ていた。
「お母さんの事件の話をしているの?」
ヴィンセントに聞いてくる。
「そうだけど、」
ヴィンセントはルクレツィアを近くのスツールに座らせて、目を合わせてかがんだ。
「でも、ルクレツィアは安全な所で普通の生活に戻った方がいい。」
愛しそうに彼女の頬に手をあてるヴィンセントをセフィロスはちらりと見て、目を反らした。
「これ以上、あなたに危ないことが起きる可能性があるのを見ていたくないんだ。」
その言葉を聞いて、ルクレツィアはかなり不思議そうな顔をしていた。
ヴィンセントのこの言葉は、以前彼の愛したルクレツィアに起こったことと今目の前にいるルクレツィアといつの間にか混ざってしまって出て来てしまったらしい。
でも、ヴィンセント自身の目は真剣だったのでさっきまで不満を言っていたルクレツィアも黙ってしまった。
ー・・・ヴィン、ぜってぇあのガキを俺の母親と混同しているよ。
セフィロス的にはさっさとルクレツィアとの会話を切っておきたかったのだが、ヴィンセントの表情を見てちょっと我慢した優しいセフィロス様でした。