「リ−ブさん、なんで一緒に行かなかったんですか?」
荷物を案内された部屋へ置いた後、クラウドの部屋にくつろぎに来た彼に話し掛ける。
「あんまりべったりいると、セフィロスに睨まれますからね。」
相変わらずニコニコしながら、そう言えばティファはどうしたんですか?と聞く。
「今隣の自分の部屋にいるんじゃないかな。」
この森の中にぽつんとある屋敷は、資産家がヴァカンスの間人を集める為のサマーハウスのように使用していたらしく、宿泊できる部屋がいくつもあった。
「リ−ブさんとかが来てくれて良かった。二人だけだと不安だったんだ。」
屋敷から出ちゃだめだって言われてるし、と一安心してクラウドが言った。
「早く帰れるといいですけどね・・・、二人の頑張りにかかってるかもしれません。」
自分も当事者で来たはずなのに、人事のようにリーブが話していたら、ティファが入ってきた。
「リーブ、どうしよう。バレットにはルクレツィアちゃんは手に余るみたい。」
何か色々言われてるみたいなのよ、とメールを見せる。
「どれどれ・・・。生のにんじんが食べられない?普通じゃないですか。一緒にお風呂入りたがらない・・・いや年頃の娘さんは普通そうなんじゃ・・・。マリンちゃんは違うんですか?」
今の状況と全く関係ない平和な会話だ。
「バレットマリンちゃんで子育て慣れてるはずなのに、何でこんなことわざわざメールしてくるんだ?」
クラウドが、メールの内容にちょっとあきれて返す。
きっと本当に困っているのよ、とティファが言った。
「いえ・・・きっとこれはただの彼女の我が侭ですよ。ヴィンセントがいなくてすねてるんじゃないですか。」
可愛いですね、とリーブが言う。
「セフィロスもヴィンセントがいないとすねるわよね。」
ティファの言葉に、二人とも笑った。
「確かに、機嫌が悪くなりますね。」
「ルクレツィアちゃんと似てるんじゃないの?」
クラウドも調子に乗ってコメントする。
「それを本人の目の前で言ったら、絶対のされますよ。」
リーブが注意する。
「セフィロスは可愛くない訳ね。」
ティファのコメントに、
「あんな見かけで、すねてる様子が可愛かったら気持ち悪いじゃないですか。」
とリーブが答えた。
それはそうだ、とクラウドとティファが大笑いする。
と、ティファの携帯が鳴って
「もしもし。あれ?ルクレツィアちゃん?」
と驚いたように話し始めた。


二人が研究棟を調べ終わって戻った時は、既にみんな夕食を終えていたらしく、
「お食事、お部屋にお持ちしましょうか?」
と家政婦から声をかけられた。
「何か軽いものをお願いできるなら。」
ヴィンセントが答えると
「二人分。」
とセフィロスが付け加えた。
「何か話し足りないことあったっけ?」
一緒に部屋に入った彼に言う。
「飯食うのに一人じゃ味気ないだろ。」
ベッドに座った彼は、部屋の奥にある椅子にヴィンセントが座ろうとするのを、引き寄せた。
「最近あのガキにかまってばっかで、すごい腹たつんだけど。」
そのまま隣に座らせようとする。
「大人なんだら、少しぐらいがまんしろよ。」
ヴィンセントが言い返した。
「大人扱いするなら、大人の付き合いをしてくれてもいいんじゃないか?」
まんまと隣に座らせて、キスしようと顔を近付けたら、
「大人は理性があって、がまんできるものだろ。」
掴まれた腕を優しく離しながら、ヴィンセントがにっこり笑ってさり気なく避けた。
「実は大人って子供よりも我侭で、言うこと聞かないってしってた?」
ついでに側を離れようとした彼の腰を有無を言わさずにぐっと抱き寄せる。
「セフィ、ちょっと・・んっ.・・」
簡単にベッドに押し倒すと、彼の態度にお構いなく丁寧にくちづけを始めた。
セフィロスの身体を押し戻そうとした手は、彼のに絡め取られて、いいように何度もキスされた。
身体を動かしてなんとか彼の下から抜け出ようとしたのだが、意外にしっかりと押し付けられて身動きもできない。
ー早く食事持ってきてくれればいいんだが・・・
眉を顰めていると、セフィロスがようやく唇を離した。
「何か不満があるのか?」
「おおありだ。さっさと私の上からどいてくれないか?」
「やだよ。」
ヴィンセントがため息をつく。
「セフィ、私の事が好きじゃなかったのか?」
「好きだから、こういうことしたくなるんじゃないか?」
すっと掴んでいた手を離すと、ヴィンセントの頭を抱き寄せて耳たぶをあまがみした。
「ちょっ、セフィ、あんっ・・・」
ヴィンセントが目をつぶった瞬間、
「ヴィンセント!電話!ルクレツィアちゃんから!」
ティファが勢いよくドアを開けた。
「ティファ!」
助かった、という風に涙目のヴィンセントが彼女の方を振り向き、セフィロスもじろりと目を向ける。
「あっ!ごめん。お楽しみのところ。」
くるりと背を向けて出て行こうとする彼女を、止めようと声を出そうとしたらセフィロスがキスしてきた。
ーちょっと!!セフィ邪魔すんな!!
ヴィンセントが彼から離れようと身動きしたら、セフィロスの唇が一瞬離れた。
「あっ・・・・!!しっ、失礼しました。」
ティファが出ようとした瞬間に、食事を持ってきた家政婦の人が入れ代わりのように部屋に入って二人の絡みを見て急いで出ようとした。
「だ、大丈夫です。ちょっと襲われてただけですから!」
セフィロスの肩を押して、彼女を呼び止めようとベッドから身を起こすヴィンセント。
「襲われてたんですか?」
家政婦さんの後ろからリーブがひょこっと顔を出した。
「お前ら、見せ物じゃない。」
セフィロスが苦々し気に言う。
「いるんだったら助けてくれてもいいじゃないか。」
見られていたのが気になるのか、ヴィンセントがちょっと赤くなって付け加える。
「ルクレツィアちゃんが話したいっていうから、今来たのよ。」
ーって言いながら二人ともかなり最初の方から、ドアに張り付いて見てたよなぁ・・・
言い訳がましいティファの言葉に、心の中で突っ込みを入れるクラウドさんでした。

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